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元検事の事件回顧録(その4)
~地方法務局長告発にかかる400万円の印紙窃盗独自捜査事件

第1回

第1回  捜査の端緒と事件の内容

 この事件は,私がM地検三席検事当時に,地方法務局長から検察庁に対し直接告訴がなされた,いわゆる直告事件です。法務局で管理保管している不動産登記申請書綴込帳から,抵当権設定登記申請書綴りが盗まれ,更に,その綴りとは別の登記申請書綴りの中にあったはずの消印前の400万円の印紙がなくなっていることが判明したという窃盗事件です。
 法務局では,局内で発生した事件ですから,当然局内部の者の犯行であるとの睨みをつけ,M地方法務局の次長を中心として内部調査を繰り返していましたが,結局,犯人が判明しないということで,約1年後に,検察庁に「犯人不詳の窃盗罪」として告訴がなされた事件です。
 法務局では,毎年,会計検査院から会計検査を受ける為の前準備として,書類や資料が整っているかどうかの観点から,自庁内で事前に監査するのですが,その自庁内監査をしているときに,その登記申請書類がなくなっていることが判明したのです。
 さらに調査をした結果,登記申請書の受付帳により,無くなった申請書は,10億円の消費貸借契約に基づく債権を被担保債権とする抵当権設定登記申請書(第1事件)で,登録免許税が400万円という高額のもので,その金額相当の印紙が貼付されていたと思われ,一方,同じ年の別の綴込帳に,登録免許税が445万8200円という高額の所有権移転登記申請書(第2事件)があり,この申請書綴りには,印紙が,400万円(台紙2枚)と45万8200円(台紙1枚)が貼付されているものの,その台紙とその前後の書類との契印に使用されている司法書士の印鑑が,その他の部分に押印されている印鑑と異なるものが使用されていることが判明しました。
 また,この400万円の印紙は200万円(20万円の印紙10枚)2枚になっており,それぞれ消印機で消印がなされているのですが,この消印機痕がその前後の申請書綴りに使用されている消印機痕と異なるものであり,かつ,無くなった登記申請書綴りの前後の申請書綴りの印紙の消印に使用されていた消印機痕とよく似ていることが分かり,印紙400万円分が差し替えられたのではないかと推認できました。
 つまり,犯人は,上記第2事件の登記申請の際に添付された消印前の400万円の印紙を盗み,それを隠すために,上記第1事件の抵当権設定登記綴りを盗み,そこに添付されていた200万円2枚の合計400万円が貼付された印紙台紙を取り出し,それを盗んだ無消印の400万円の印紙の代わりに差し替えて添付したのではないかということです(この事件発生当時は,登記申請の際の登録免許税の納付方法は,申請書にその相当額の印紙を貼付し,それを消印することで行われていましたが,その後の法改正により,3万円を超える額については,印紙による納付方法はなくなっています。)。

続く

第2回

第2回 捜査の実施と経過

 どのような捜査をしたかですが,まず客観的証拠を確保するために差押令状を取って法務局から該当の不動産登記申請書綴り込み帳を押収しました。法務局は,この種の元帳類は任意提出が出来ない(不動産登記規則31条)ことから,差押令状の請求をしたのです。犯行当時は,犯人は上記差し替えの作業をしたのですから,不動産登記申請書綴り込み帳に犯人の指紋が付着していた可能性が高かったのですが,法務局内の調査の最中に,多くの者が該当の綴り込み帳を触りまくっていたことから,指紋は検出されず,指紋による犯人特定は出来ませんでした。
 そこで,さらに客観的証拠を収集することにし,消印機痕の同一性や契印に使用された司法書士から印鑑の任意提出を求め,印影の鑑定をE県警察本部刑事部鑑識課に内々に,つまり捜査の秘密を保って捜査して欲しい旨依頼しました。検事としては,警察本部にこのような依頼を突発的に頼み,警察がこれに応じてくれるような警察との良好な関係を,日頃から築いておくことが大切です。後で述べる,ポリグラフ検査の実施についても,同じく警察本部に依頼しています。
 当初は,2件の登記申請手続に関与した法務局の,受付,調査,記入,校合の各担当者等約10名を,在宅で,他事件の捜査の合間に,一人でぼちぼち取り調べ,3,4ヶ月かかりました。
 最終的には,第2事件の所有権移転登記申請の手続きに関与した担当者3名に絞り込みました。そして,3人を同時に呼び出し,検事二人と副検事一人がマンツーマンで取調べを行いましたところ,3人の内,副検事が調べていた一人には,アリバイが成立しました。あと2名については,私と応援検事の二人がマンツーマンで取調べをしたのですが,双方とも否認であり,丸2日間取り調べましたが,これという突きネタもなく,自分は何も知らないという否認のままで,にっちもさっちもいかなくなりました。

続く

第3回

第3回 ポリグラフ検査の実施

 そこで,3日目の夕方に2名に対してポリグラフ検査を実施することにしました。この検査は,陽性の結果が出たとしても,それだけでは犯人性を裏付けられるものでもなく,犯人認定のための証拠能力もなく,鑑定の結果をそのまま重視するわけにはいかないのですが,自白を得るための,一つの揺さぶりのようなものだという前提で実施しました。
 ポリグラフとは,人間がどきっとしたり,冷や汗をかくという心理状態についての変化をグラフに表して,その際の,呼吸の乱れ,心臓の動きの変化,皮膚の発汗状況などの変化を見るものです。これが同時にグラフに記録されることから「ポリ」グラフというのです。
 ポリグラフ検査の方法は,被検査者に対して「犯人しか知らないこと」を質問事項に掲げて質問をし,全ての質問に「いいえ」という否定の回答をして貰います。もし,知っている事項があった場合に,それを否定する回答をすることになり,嘘を言うことになるのです。これは,最高緊張質問法といって,人間は嘘をついたら緊張し,緊張したら体に変化が出るという特性を利用する訳で,この心理状態の変化をグラフに同時に記録して,心理の変化を把握するのです。嘘をついたらその反応が大きく出るということから「嘘発見器」とも呼ばれています。
 反応とは,いくつかの質問をして,嘘を回答すると検査結果用紙の上にピキピキと線が大幅に揺れ動くのです。被検査者が正直に対応すれば正確な反応が出るのですが,被検査者が,別の反応が出るように意識して対応したら,つまり積極的に嘘をつくんだ,何ら心理に変化が起きないようにしようという気持ちで検査を受けると,適正な反応が出ない可能性もあるのです。また,質問している事項について別の面から,又別の意味で反応が出ることがあります。犯人しか知らないことを聞いているつもりでも,そのことが新聞に記載され,被検査者がそれを読んで感心していたような場合は,余分な知識が入っていて,心理変化が正常に発生せず,反応が起こらないこともあるのです。そのような点で,不正確性が残る検査です。ですから,信用性にやや問題があります。
検査の前に私は,警察の鑑識課の検査官と十分質問事項を練って決めました。私が考え,実施した質問は,次のようなものでした。犯人しか知らないことを,質問事項に多く盛り込んだのです
   ◎ 盗んだ登記申請書綴の金具を外した場所
     喫茶店
     自宅
     法務局の受付
     法務局の自分の机
     法務局の倉庫内
   ◎ 抜き取った登記申請書はどうしたか
     川に捨てました。
     ゴミ箱に捨てました。
     他人に渡した。
     焼却しました。
     ある場所に保管しています。
   ◎ 抜き取った登記申請書添付の400万円の印紙(台紙付き)は
     捨てた。
     売った。
     別の申請書に使用した。
     燃やした。
     他人に渡した。
   ◎ 差し替えた未消印の400万円の印紙(台紙付き)は
     売った。
     燃やした。
     隠し持っている。
     使用した。
     他人に渡した。
   ◎ 印紙を貼った用紙を取り替えた場所は
     法務局内の倉庫
     法務局の自分の机
     法務局の宿直室
     自宅
     喫茶店
   ◎ 共犯者
     法務局の職員の上司
     法務局の職員の部下
     知り合いの司法書士
     知り合いの行政書士
     友人
   ◎ この事件で得た利益
     10万円位
     50万円位
     100万円位
     200万円位
     300万円以上
検査を受ける者には,これらの質問に全て「いいえ」という返事をしてもらうのです。自分の記憶と違う答え,つまり知っていることに対して,「いいえ」と答えると,心理的変化が生じ,ポリグラフに反応が大きく出るのです。
検査官は,実際に検査をする前に,いつもテストをします。53枚のトランプの中の好きなカードを1枚見て決めて貰い,それを数枚のカードの中に入れて順番に見せ,「貴方の選んだカードはこれですね。」と聞き,全てに「いいえ」と答えて貰います。この実験をすると,被検査者が選んだカードについて,被検査者が「いいえ」と答えると,鮮やかにポリグラフに反応が出ます。
 このテストは,直前の知識について,ほかに邪魔をする要素がなく,単純な回答を求めることから,意識的に虚偽の回答をしたということで,心理的反応が出て,大概,当たります。ぴたりと当たるものですから,被検者はこの結果を聞いて,びっくりし,嘘をついたらバレルと思い込むようです。
 検査の前に,被疑者には検査を受けることの同意を得ておく要があり,同意を得てから「貴方が犯人でなければ反応は出ないので,検査を受けて,犯人でないことを明らかにしてください。」といって,検査を受けて,疑いを晴らすようにと持ちかけておきました。しかし,後で,真犯人と分かった被疑者は,その時「反応が出たからと言ってそれだけで私を犯人と決める様なことはないのでしょうね。」というような心配事を言って,検査結果につき牽制をしていました。
検査の結果,私が取調べを担当していた登記官については,反応が出たり,出なかったりバラバラの反応でした。反応が出たものはあったのですがそれが,何故出たのだろうか,と思うような結果でした。しかし,応援検事が調べていた被疑者については,おもしろいほど陽性反応が出ました。特に,この件で得た利益は,300万円以上というところに凄い反応がありました。
 被疑者に対する取調べは,検査結果を被疑者に告げないという状況で,続けましたが,自白は得られませんでした。

続く

第4回

第4回 自白に至る経過

 その日,夜遅くになって,応援検事が調べている被疑者の方から,「印紙事件については,子供の国立の大学受験が終わってから話します。」と言い出しました。しかし,その期間,つまり国立大学の入試までは,約4週間あり,その間,待つかどうかが問題となりました。
 「話します。」と言ったことは一歩前進ですが,これは,自白でも何でもありません。その間に自殺をされたら何もかもなくなりますし,強烈な人権派の弁護士がついて,否認するように励まされた場合は,真相が遠ざかって行く可能性もあります。自白が得られなければ,何も証拠がなく,何も出来ない,何も分からない事件なのです。
その夜も,自白が得られず,在宅ですから帰宅させることになりました。自白へ向かう供述があり,精神的動揺があるようで自殺を防ぐ必要が生じたので,夜遅く,10時ころになって検察事務官が被疑者の自宅へ奥さんを迎えに行き,奥さんに検察庁まで来て貰い,事情を話して,今晩は寝ないで被疑者と話し続けてくださいと頼みました。翌日は,法務局で局長に会って話しをしてから,9時に検察庁に出頭しますということになり,タクシーで自宅まで送って帰宅させました。
翌朝のことが心配で,その夜は,本当に,十分眠ることが出来ませんでした。自殺の恐れについて心配するのは捜査官として当然であり,後で被疑者本人から聞いた話ですが,ポリグラフ検査の後,夕食に庁外へ出たときに,国道でトラックが勢いよく走っているのを見て,ばれるかも知れないな,それならいっそ,トラックの前に飛び込もうかと真剣に考えたことがあったということでした。
翌日は,午前8時ころに,法務局長から被疑者が出勤してきたとの報告があり,自殺をされることもなく,無事が確認でき,ほっとしました。被疑者は法務局に出勤し,その後,検察庁に出頭してきました。しかし,娘の入試が終わるまで待って欲しい一辺倒で,検察庁内でも,待つか待たないかについての議論がありました。
君ならどうしますか。
 私は,積極的に捜査を進める方を選びました。
応援検事が,その日の午後に警察署での講義が入っているということで,主任の私が,その被疑者の取調べをすることになりました。自白を得て,真相を解明しなければならない状況でした。

続く

第5回

第5回 自白の経過と自白内容

 「法務局も検察庁も同じ法務省の中の職員だ。」,「検事が法務局職員の君の我が儘を聞くわけにはいかない。身内だから甘い調べをしていると言われたくない。」,「世間で検察は,公正な仕事をしていると信用してくれているし,その信用を揺るがせる訳にはいかない。」,というような攻め方をしました。
 印紙事件は娘の大学の入試が終わってから話すというのですから,関与していることは間違いない。被疑者は,娘さんの入試に悪い影響を及ぼしたくない,というのが本音であると思いましたから,今の内に事件のことを話した方が悪い影響は少ないという方法で説得することとし,「君は,娘さんの受験が心配だというが,真相が明らかになったとき,娘さんはそれだけで,試験に落ちるのか。」,「お父さんにどのようなことがあっても,娘さんが実力を出したら合格するのではないか。君は娘さんを信用できないのか。」,「それこそ,試験の真っ最中に事件が発覚してしまった様な場合は,娘さんに対するショックは,かえって大きいのではないか。」,「試験までまだ4週間あり,今の内にはっきりさせた方が,娘さんのためになるのではないか。」というような説得を繰り返しました。
 このような攻め方をしても,被疑者はなかなか返事をしませんでしたが,何か考えている様子がうかがえました。それで,暫く攻めるのをやめて,静かに相手の態度を見ていました。それから本格的に取調べに入り,「誰と組んでやったのか。」,「現金はどこへやったのか。」などと,被疑者が消印していない印紙を,誰かと相談して,どこかで現金化して,300万円以上のお金がどこかの誰かに渡っているはずである,との見通しを付けて,被疑者を追及しました。
 最後に「どこで換金したんだ。」と印紙を何処で現金に換えたのかと聞いたところ,その質問に,被疑者は「秋葉原です。」と私が予想もしていない言葉を発しました。「何!」,「東京のか。」と聞きますと,「はい。」と答えました。」,「幾らで売ったんだ。」,「8掛けです。」,「その金はどうしたんだ。」,「貯金して,その通帳を知り合いの司法書士に渡しました。」というやりとりで,自白を得ることが出来ました。
 400万円の8掛けということは,320万円で売ったということです。ポリグラフ検査の結果で,300万円以上利益を得たことの反応が凄かったということが,やはり取調べの中で,印紙を換金し,利益が300万円以上あったということを確信した上での聞き方が効果的であったのだと思います。
 「法務局の先輩が司法書士をしていて,司法書士が銀行の仕事をするには,その銀行に貯金していれば,沢山仕事をくれるというので,その先輩に貸してあげました。」,「通帳の表紙には,鉛筆で私の名前が書いてあります。」という話でした。

続く

第6回

第6回 自白の裏付け捜査と事件処理

 そこで,すぐに応援の副検事に,その司法書士のところへ裏付け捜査に行って貰いました。その司法書士さんからは,被疑者の言うとおりの話しを聞くことが出来,表紙に被擬者の名前が鉛筆書きされた通帳を任意提出して貰いました。これで,自白の裏付けがとれたので,逮捕状を請求し,令状が発付されたところで,被疑者を逮捕しました。
 犯行の動機は,娘は,国立大学を受けるほどの能力があったのですが,弟の方の出来が悪くそれが心配で,そのための予備校や家庭教師などの費用がいると思って,お金が欲しくてやってしまいましたということでした。
本件は,被疑者の自白を得ることが出来て,初めて事案の真相が明らかになった事件で,被疑者が否認のままであれば,何も手を出せない,未解決になる事件です。だから,自白,適正な方法による自白を得なければ,なかなか事件の真相を解明することは出来ません。
 この被疑者の自白には,多くの「秘密の暴露」が含まれていました。飛行機に乗って東京へ行ったこと,秋葉原で換金したこと,先輩司法書士に通帳を渡していたこと,表紙に鉛筆書きで自分の名前が書いてあったことなど,こちらが知らないことを沢山,被疑者が自白してくれ,その裏付けが出来たので,真相が解明できたのです。
次の日に被疑者の自宅の捜索を実施しましたが,受験生の娘さんには配慮しました。あらかじめ,被疑者の奥さんに対して,娘さんは,この日の午前中は,図書館にでも行かせて,捜索が入るときには,家にいないように手配しておいて欲しい,と伝えました。法務局の職員ですから,検事と同じ宿舎に住んでいるため,他の検事の家族に分からないように,一挙に多人数が家に入るのではなく,三々五々,ばらばらに玄関の前に集まるように指示しました。余罪の出るような事件ではなかったので,このような配慮をしたのです。
 被疑者のいう秋葉原のチケット屋での印紙売却という現金への換金事実や東京までの飛行機の裏付けも終え,20日満期に被疑者を起訴しました。公判では,被告人は,自白を維持し,何の問題もなく,自白どおりの事実が認定され,執行猶予判決が出されました。この事件では,自白の裏付け証拠が多くあり,公判で,否認されても十分有罪が確保できる,証拠が堅い事件でした。

続く

第7回

第7回 事件処理後の問題

 心配なのは,娘さんの国立大学の受験結果です。本州の北の方の国立大学でしたから,受験するため友人と一緒に泊まるホテルは,被疑者が予約をして準備していたということでした。そこで,被疑者から聞いた,ホテル予約への連絡の取り次ぎは,被疑者の奥さんにしてあげました。ですから受験はしている筈なのですが,問題は結果です。国立大学の入試結果の発表は,3月の中旬ころだったと思います。
 合格発表の翌日の朝ですが,地元新聞の朝刊の大学合格者欄をすぐに探したところ,娘さんの名前が有りました。つい,「有った。」,「有った。」,「良かった。」と大きな声を出してしまいました。それを聞いていた女房が,「どうしたん。何が良かったん。」と聞きますので,「知り合いの娘さんが国立に受かってん。」とだけ返事をしておきました。自分の子供のこと以上に嬉しい気持ちでした。被疑者にはあれほど「娘が信用できないのか。」と攻めながら,親父が逮捕されたショックで娘が入試に落ちていたら,目も当てられない,自白を得るために,いいかげんなことを言っていたことになり,自分の心の中に大きな穴を開けるようなものになるところでした。
 良かった。良かった。
被疑者からは,この娘さんは,司法試験を目指す気持ちで,国立大学を受験したと聞いていましたので,いつも,何かしら気になっていました。
 その後,約10数年経って,私がO地検の検事正として実施していた若手検事に対する朝の事件講話の際に,この事件の話をして,娘さんが司法試験を受けているかも知れないとの話をしたのです。すると,講話の後,東京地検での新任明けの副検事が「検事正,この娘さん,私,知っています。」と言いました。
 どうして分かったかというと,この被疑者は,少し変わった名前で,名字の2文字の漢字の内の2文字目が,普通よく使う字でなく,変わった字を使う名字であったということで,名前が一致したというのです。前任の東京地検交通部にいた時に,その副検事が担当していた交通事故の捜査の際に,役所の取調室に見えられ,事故の被害者で,弁護士さんでしたというのです。M県出身で変わった字であったと聞いて分かりましたということでした。
 弁護士さんだということは,その娘さんは,司法試験に受かっていたのです。人間というものは,いろいろなところで,いろいろな繋がりがあるものですね。本当にびっくりしました。良かった。娘さんは弁護士になっておられたのです。
法務局は,登記申請書綴りがなくなっていることについて,会計検査院の検査の前に自庁検査で判明していましたが,会計検査院の行った検査の際,検査員にこのことは黙っていたということですが,会計検査院の検査官は,登記申請書がなくなっていることには,気づかなかったということです。これって,どうなんでしょうね。

終わり