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マンション滞納管理費の消滅時効期間

平成24年4月20日
弁護士 秋 重  実

 今回は,身近な問題であるマンション管理費について取り上げたいと思います。
1 管理費とは
 マンション管理費について,区分所有法19条は,「各共有者は,規約に別段の定めがない限りその持分に応じて,共用部分の負担に任じ,共用部分から生ずる利益を収取する。」と定めています。
 管理費の内容としては,管理を管理会社に委託している場合の管理委託料,共用部分の光熱費,エレベーターの保守点検料,各種修繕費などがあります。ただし,このうち修繕積立金については,多くの管理組合において,長期修繕計画に伴う大規模修繕において一時的な徴収を避けるために,通常の管理費とは別の費目によって徴収しているようです。
2 滞納管理費はいつまで請求できるか
 ところで,この滞納管理費はいつまで請求することができるのか,その消滅時効期間が問題となります。民法上,債権の消滅時効は原則として10年と定められていますが(民法167条),例外的に,5年,3年,2年,1年の短期消滅時効が設けられています(同168条以下)。
 滞納管理費の消滅時効期間については,原則通り10年と解するのか,定期給付債権として5年と解するのかで争いがありました。民法169条は,「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は,5年間行使しないときは,消滅する。」と定めています。マンション管理費は毎月一定期日までに一定額を支払うように定められているのが通常ですので,これが,民法169条にいう定期給付債権にあたるのではないかが問題となっていたのです。
 この点につき,下級審の裁判所では,10年説をとる判決もありましたが,最高裁判所は,民法169条を適用し,5年説を採用しました(草加西町マンション事件・最高裁判決平成16年4月23日・判時1861号P38)。
3 滞納問題の対策
 管理費滞納という問題は,どのマンションでも起こり得るものです。5年という期間は長いようですが,意外とすぐに経過してしまいます。そのため,個々の弁済期から5年が過ぎる前に,支払督促,訴訟提起といった法的措置を執る必要があります。
 管理費の滞納があると,マンション管理に支障をきたし,また組合員間の不公平感を助長することもあります。したがって,不誠実な管理費滞納者が容易に管理費を免れる結果とならないよう,適切かつ厳重な管理体制を構築することが必要です。また,どのような手段,対策を執るかについては専門的な判断も必要ですので,管理費滞納が発生したら,早めに弁護士やマンション管理士といった専門家にご相談されることをお勧めします。
 
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